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そんな中、ある日を境に平凡だった私の運命は動き始める。
『クリスお姉様~
今夜、ロランお兄様が来られるって本当ですか?』
四つ年下の妹であるリリーナが、その愛らしい声と可憐な仕草で私に駆け寄ってくる。
『そのロランお兄様って言うのはなに?リリーナ。』
ロラン様は、当家に隣接する領地を管理する貴族の後継ぎで、そして私の許嫁でもある。
これは当家だけでは困難な問題を、お互いに協力しあう事で解決してきた経緯があり。
その絆をより強固にする為、当主同士が決めた縁談であった。
『だってお父様が、お姉様とロラン様の婚約発表を来月にするからって教えてくれたから…
もうお兄様と呼んでもいいかな?と思ったの。』
『今日来られたら、呼んでも良いか聞いてあげる。
それまでは我慢してね?
あとまだ婚約の事は秘密なんだから、家族以外に話してはダメよ。』
分かりました~お姉様と、ソファーに座っていた私の足に抱き着いてくる。
ニコニコと愛くるしい笑顔を向けられると、ついつい私も笑顔になってしまう。
『そう言えばリリーナ?、今日は友達とお茶会と言ってなかった?』
あ~忘れていた!遅刻しちゃう~と、慌ただしく外出の用意をしに出ていく。
数分後、ドアが少し開きリリーナが顔を出してくる。
『お屋敷にお姉様お一人で寂しいと思うから、早く帰ってきますね♪
行ってきま~す。』
そんな言葉を掛けて出ていくリリーナ。
メイドや執事がいるからそんなことはないのだけど、心配してくれる妹の気持ちが心地好く感じる。
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