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…誰かの悲しい声が聞こえるの。
必死に私を…
心から叫ぶ気持ちが、私の意識を呼び覚ましていく。
ズキッ…
ズキンズキンと頭が割れるように痛い。
だるさが支配する体が、その全身が燃える様に熱く…
いや…右手を包む何かだけが、心地好い冷たさを与えてくれているのね。
それを確かめる為に、力の入らない指先を動かすと…
『…お姉さ…ま?』
期待と恐れが、ない交ぜになった弱々しい声が聞こえた。
リリーナ?
『リ…ィ…リー…ナ。』
愛しい妹の名前を呼び、重くなってしまった瞼を持ち上げる。
ボンヤリとした視界…
次第に焦点が定まっていくと、こちらを見詰める瞳はリリーナ。
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