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…あれから私の意識が戻った事を知り、部屋に来た両親とグレンお兄様。
泣き疲れ眠ってしまったリリーナを見つけて、優しく抱き上げて連れて行く。
この数日間、ろくに食事も喉を通らず、眠っても直ぐに目が覚めてしまう…そんな生活を過ごしていたと教えてくれた。
「でもリリーナのことは私達に任せて、今は眠りなさいクリス。」そう諭されて回復の為に、また目を瞑る。
◇◇◇◇◇
『クリス、貴女に伝えなくてはならない話があるの。』
目を覚ましてから更に数日後に、真剣な表情のお母様が目の前に居る。
僅かに目尻から頬にかけて、涙の後が見えるのがひどく気になった。
その話しはロラン様との婚約の相手が、私からリリーナに変わったこと。
…医者の見解では、私が子供を産めない身体になった可能性が高いと言うこと。
子供を作る事は何よりも重要で、それが出来ない可能性があるのは致命的であった。
それは私も不安に感じていたこと、倒れてからこなくくなっていた…
ただ遅れているだけだと、心に言い聞かせていたけど。
しかし現実は残酷だった。
まるで、淡い望みにすがった罰だとでも言うように。
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