家族の絆は…クリス

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『クリス、今日は珍しい貴重な本が手に入ったので持ってきたよ。』 答えが出ず悩んでいる私に、お父様が一冊の本をくれる。 なんでも、領地に住んでいた高名な魔法使いが亡くなった。 しかし身寄りが無く、領主として葬儀をした後に家を整理をしていると、この本を発見したらしい。 開いて読んでみると様々な呪文や基礎理論、それだけではなく魔法の可能性を著者なりに考察した内容であった。 見た瞬間、私の進む道が示された様に感じた。 魔法使いを目指す、知識と魔法を研鑽して力を蓄えよう。 そしてその力を役立て行こう、それが私個人が出来る最大の強みになる筈だから… その日を境に進むべき目標に向かって、私は自分が出来る努力を重ねていった。 本を基礎に、数多くの魔法使いに教えを乞う。 その行為は、時代から見たら異端の行動だった為に、幾度も門前払いを受けた。 気性の荒い者には、生死に関わるような手荒い対応も受けた。 『帰れ帰れ!小娘などに教える事など何もない! 帰らないと言うなら、我が魔法の餌食としてくれる。』 火の魔法が放たれ私を襲う、勉強していた風の魔法でなんとか軌道だけを反らすが着弾の威力で身体に痛みが走る。 それでも怯まずに、何度も何度も教えを乞った。 そんな無謀なやり取りを繰り返して、魔法使い達との絆を築き上げ力を蓄える日々が続いた。
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