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この世界の星空は、その輝きを曇らせる大気の汚染も、地上の光りも格段に少ない為に本来の美しさを充分に発揮している。
ヒカルも初めてその星の輝きを目にした時は、眠い目を擦りヒカルを心配するクリス、アニエス両名に早く寝なさいと怒られながらもその圧倒的な夜空を眺めた。
今、目の前で繰り広げられる光景はその時の感動にも勝る光りの乱舞…
美しい光景は、人に過ぎ去る時を忘れさせる。
ヒカルも、どのくらい我を忘れて見続けていたのだろう。
『起こしてごめんな、どうしてもヒカルにこの夜空を見せたかったんだ。』
前に聞き分けのいいヒカルが、クリス達に怒られながらも食い入る様に見ていた事が印象的で、どうしても見せたくなったアレン。
『ありがとう、アレン パパ。
凄く綺麗…』
今夜を逃せば、いつ見る事が出来るか分からない天体ショーを存分に堪能出来たヒカルは、とても幸運だろう。
「クシュ!」、ヒカルの可愛らしいくしゃみがもれる。
毛布とアレンの体温で暖めていたとしても、どうやら長い時間外に居すぎたようだ。
慌てヒカルを抱き上げて部屋の中へと戻ると、
「大丈夫かヒカル?」と心配そうに覗きこむアレン。
ヒカルの両頬を、その大きな手のひらで触り体温の低下具合いを確かめる。
思った程は冷たくなっていなかったので、ほっとひと安心するアレン。
そこに…
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