逃げ出した少女

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『ヒカル、リタはどんな様子?』 『良くはなってきたけど、まだまだ苦しそう。 回復魔法を使ってもいいかな?』 『出来るのヒカル? クリスが居れば頼めたのだけど… 回復魔法は、一部の人しか使えない高度な魔法よ。』 『イリスに教えてもらって、実際に使ったから大丈夫。』 『それじゃ、お願いね。 リタの苦しみを和らげてあげて。』 「うん、頑張るよ。」と魔法の詠唱を始める。 『生命の光 その躍動を その神秘を 光の奔流を受け入れ 輝きを取り戻せ』 『命の光姫』 優しい雰囲気の光輝く女性の姿が現れ、リタを抱き包み込む様にその苦しみを取り除く。 安らぎの表情を浮かべ、眠りから目覚めるリタ。 『…ここは? 私、自分の家に行こうとしたのに…』 『初めまして、リタ。 僕はヒカル、宜しくね。』 『ヒカル? 私、どうしたの?』 『家の近くで倒れたんだよ。 覚えてる?』 首を振り、覚えてない…と表情を曇らせてベッドから出ようとする。 『帰る…』 『もう外は暗いよ。 明日僕も付いていくから、今日は休もう?』 ジッとヒカルを見詰める。 『ヒカルは、家に行くのは止めないのね… 明日、ヒカル付いてきて… …手を…繋いで。』 『いいよ。 その前にご飯食べて、お腹空いたでしょう?』 『ヒカル食べさせて…』 誰かに甘えたいのか、ヒカルに恥ずかしながらも言ってくる。 妹がいたら、こんな感じなのかな?と思いながらリタに 「あーん」と言いながら食べさせてあげる。 心なしかヒカルもリタも顔が赤くなっている。 お腹が満たされて眠くなってきたのか、リタのまぶたが下がってくる。 「休んだら、リタ」と声を掛けて手を握ると、 「ありがと…」と眠りについた。
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