1112人が本棚に入れています
本棚に追加
赤ん坊の傍に、金色の光が瞬いている。
まるで慈しむように…
『この子は?』
『普通の赤ん坊にみえるの。』
2人して、どうしたものかと考える。
アニエスは赤ん坊を壊れ物を扱う様に、恐々と抱き抱える。
フレアはアニエスの肩に腰掛けて、覗きこむ。
『しかし赤ん坊は別として、推測通りにこの光は光の精霊じゃった。』
『フレア、分かるのか?』
『ああ、人間はもともと精霊の形を認識出来ないみたいじゃが。
ワシら小人族は、認識しているからの。』
この世界では、精霊は光輝く光の粒のような認識が一般的である。
様々な場所に存在する、自我を持たない魔法の源として…
なので自我がある様に振る舞っている光の精霊と、
その精霊が心配そうに寄り添うこの赤ん坊は…
どう認識すればいいのだろう。
…アニエスは思考を一旦やめて、手がかりになりそうな赤ん坊が抱いている水晶を手に取ってみる。
『何か文字が彫ってある。』
『ヒカルに祝福を、
彼が守るものと、彼を守るものに幸福を。』
お守りみたいな物かな?
赤ん坊の親が持たせたのだろうか。
『この子の名前のようね、ヒカルか…
良い名前だな。』
『そうじゃな、ひとまず此所には置いとけないしの。
連れて行くしかあるまいて、後の事はまた考えるとするかの。』
この辺りを注意深く見渡して、この子、ヒカルの関係者が近くに居ないことを確かめる。
最初のコメントを投稿しよう!