出逢い

3/3
前へ
/216ページ
次へ
赤ん坊の傍に、金色の光が瞬いている。 まるで慈しむように… 『この子は?』 『普通の赤ん坊にみえるの。』 2人して、どうしたものかと考える。 アニエスは赤ん坊を壊れ物を扱う様に、恐々と抱き抱える。 フレアはアニエスの肩に腰掛けて、覗きこむ。 『しかし赤ん坊は別として、推測通りにこの光は光の精霊じゃった。』 『フレア、分かるのか?』 『ああ、人間はもともと精霊の形を認識出来ないみたいじゃが。 ワシら小人族は、認識しているからの。』 この世界では、精霊は光輝く光の粒のような認識が一般的である。 様々な場所に存在する、自我を持たない魔法の源として… なので自我がある様に振る舞っている光の精霊と、 その精霊が心配そうに寄り添うこの赤ん坊は… どう認識すればいいのだろう。 …アニエスは思考を一旦やめて、手がかりになりそうな赤ん坊が抱いている水晶を手に取ってみる。 『何か文字が彫ってある。』 『ヒカルに祝福を、 彼が守るものと、彼を守るものに幸福を。』 お守りみたいな物かな? 赤ん坊の親が持たせたのだろうか。 『この子の名前のようね、ヒカルか… 良い名前だな。』 『そうじゃな、ひとまず此所には置いとけないしの。 連れて行くしかあるまいて、後の事はまた考えるとするかの。』 この辺りを注意深く見渡して、この子、ヒカルの関係者が近くに居ないことを確かめる。
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1112人が本棚に入れています
本棚に追加