試験日までの日々

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「そうそう、お土産買ってきたの。 ヒカルが興味ありそうな本よ。」と分厚い本を三冊机の上に並べる。 それぞれ、医学、建築学、歴史(近隣諸国)の三冊だった。 『ありがとう♪クリス ママ。 大切にするね。』 この世界は印刷技術があまり発展しておらず、教科書などの部数を多く必要とされる本以外は、基本手書きになっている。 専門書など、とても子供へのお土産で買える値段ではないのだが… そこは自分自身も本好きで、なにより可愛いヒカルの為と今回の報酬の半分ほど飛んでしまった、あまあまのクリスであった。 充分に堪能したのか、やっとリタの存在に気付きヒカルの説明を受ける。 互いに暫くの間宜しくねと挨拶を交わす2人。 「じゃあ、ひと休みするね。」とクリスは席を外し、また2人きりになる。 先程とは違い、リタの視線がお土産の三冊に注がれている。 『ねえヒカル。 それ中身見てもいいかな?』 「いいよ。」と返事をすると手に取ってページをペラペラとめくるリタ。 それぞれ、 「何が書いてあるか分からない… 読めない単語ばかり。 なにこの数字、どう計算してるの… 見たことない記号がある。」とリタの顔が目まぐるしく変化しながら机に伏っして、降参状態で唸ってる。 「ヒカル~ぅ、私が教えるところ無いじゃないのよ~ぉ」と拗ねた表情を向けてくる。 拗ねた表情ちょっと可愛いかな♪なんて、リタに知れたら怒られそうな事を考えるヒカル。 『ごめんねリタ。 一年生の範囲が分からなかったし教えて貰おうかなと思って、でも農業はサッパリだよ。 一度もやったことないし… 機嫌直して教えて、リタお姉ちゃん?』 『うぅっ、ズルいわよヒカル。 その表情は… 断れないじゃない。』 しぶしぶ機嫌を直して教えてくれるリタ。
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