魔法の誕生日

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 それも今日で終わりだ。その叶えられなかった無駄な行動も今日から叶う。魔法が使える――はずだと思う――のだ。  ふと、胸に手を当て、大きく深呼吸をしてみると、微かながら魔力っぽいものを感じた――いや、これは多分魔力だ。そうに違いない。 「えへへ」  そう思うと、自然と顔の筋肉が緩んできた。ニヤニヤが止まらない。  なんだこれ。この笑みはどうやって止めるんだ? 端から見たら私は恐らく危ない人だと思われるだろう。  数分かけて、首を回したり頬を手の平で叩いていると、ようやくにやけを止めることができた。  自分のにやけを止めることがこんなにも大変だということを私は思い知らされた。
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