魔法の誕生日

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 空中に浮く黒板消しは、黒板を隅々まで綺麗にしていく。  チョークの粉が黒板を伝って、小雨のように落ちていく。  それを眺める私の隣で、とても嬉しそうな表情をする女の子がいる。 「木戸さん、ありがとね!」  微笑みながらそう言う彼女に、私も同じように微笑む。  あ、次の時間は体育館で身だしなみ指導だ。みんなを移動させなきゃ。 「みんなー! 体育館に移動してー。教室閉めるよ」  次々と教室から出ていく姿を見て、とても優越感にひたっている気分だ。  私の呼びかけにより、クラスのみんなが応じてくれた。学校がこんなにも楽しく思えるのは久しぶりだ。
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