41人が本棚に入れています
本棚に追加
神楽の視線の先には三年前に見たロボットがいた。
紺色のボディ、胸に光る赤い宝石のような装飾。
上腕、大腿部、足の甲は白の塗装。
三年前、最後に見た時のままの姿だ。
そのロボットが足を一歩踏み出す。
「はわぁ~」
その姿に神楽から素っ頓狂な声が漏れた。
三年前と同じくして感動しているのだ。
ロボットの歩行スピードが上がる。
そして、やや前傾になると同時にその巨体が走り出した。
それはヴェノムも同じだった。
地面が激しく揺れる。
互いに近づく2体の巨人。
先に手を出したのはヴェノムの方だ。
鋼色の五指を握りしめ、固めた拳を突き出す。
「三年のブランクがあったところでよお」
一聖がコックピットの左足のペダルを捻る。
それに呼応し巨体が体を捻った。
ヴェノムの突き出した拳は空を切り、そして代わりにロボットの拳をモロに食らう。
重金属が激しくぶつかり合う轟音。
一聖はそのままの勢いでヴェノムを道路に叩きつける。
本日最大の揺れが月丘市を襲った。
「楽勝なんだよ」
最初のコメントを投稿しよう!