巨人と眼鏡娘

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神楽のロボット好きにはもう一つ理由があった。 三年前のヴェノムと謎のロボットの戦いを神楽は間近で見たのだ。 今思えば最終決戦だったのだろう。 金の一本角を輝かせた一体のヴェノムとロボットの一騎打ち。 他のヴェノムより一回り巨大なソレを相手に謎のロボットは苦戦を強いられていた。 幾度も打ち倒され、殴り飛ばされていた。 しかしそれでも立ち上がって強大な敵に向かい、そして最後に勝利した。 そんなロボットの姿にまだ中学二年生だった神楽は感動したのだ。 (パイロットはどんな人だったんだろ) 当時の事を思い返しながら神楽は今、店のレジの前に並んでいる。 平日の午前だというのに既に人がごった返していた。 (全く、このオタク共め) そんな事が頭をよぎる神楽だが、神楽もそんなオタクの中の一人。 「ありがとうございましたぁ」 女性店員の声に見送られ店の外。 神楽は自分の行いに後悔していた。 (超……重い) AM11:24 三年前の悪夢が直ぐそこまで迫っているのを、神楽を含め、誰一人として知る者はいない。
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