巨人と眼鏡娘

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突然だった。 「うわ! 地震!?」 地面が揺れた。 揺れたか揺れないか分からないといったようなものではない。 だが、おかしな事に地震の予兆、初期微動が一切無かった。 (もぉ~、なんなのよ今日は厄日なのかなぁ) しかし神楽はそんな事を疑問にも思わなかった。 地震大国日本においてはまれにある事。 その程度の認識でしかなかったのだ。 「うぅ~、今日はもう帰ろ」 そう言って店の前の道を大通りに向かう神楽。 そんな神楽の目に目を疑うような光景が映った。 今自分のいる交差点の遥か前方数キロに、三年前世界を蹂躙した赤い鋼の巨人がそこに佇んでいた。 「うそ、あれって――」 神楽の呟きは突然発せられたヴェノムの咆哮にかき消される。 悲鳴にも聞こえるその咆哮。 重金属が擦れあうような咆哮が三年前の記憶をフラッシュバックさせた。 「なんで、戦いは三年前に終わって……逃げなきゃ、逃げなくちゃ」 荷物を両手に抱え走り出す神楽。 どこが安全とは言えない、アレが表れた以上、この月丘市が戦場になる。 (どうしよう! どうしよう!?) 走る神楽の耳に重量物が地面に落下する音が聞こえた。 佇んでいたヴェノムが歩行を開始したのだ。
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