巨人と眼鏡娘

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自衛隊の対応は迅速なものだった。 駆けつけた航空自衛隊の戦闘機がミサイルをヴェノムに放つ。 数年前までなら考えられない光景だ。 三年前の経験が日本の政治家を黙らせているのだろう。 (だけどこういうのって) 神楽の遥か頭上をミサイルが通り過ぎヴェノムに向かう。 一瞬立ち止まりそのミサイルの行方を目で追うが、神楽の予想通り、いや予想以上の結果がそこに待っていた。 ミサイルがヴェノムに直撃する手前で爆散したのだ。 「うそ、何よあれバリア?」 三年前のヴェノムにもミサイルは効かなかった。 しかしそれは厚い装甲のおかげであって、今みたいにバリアの類で防いでいた訳ではない。 (性能が上がってる? そんな、これじゃ――) 神楽に考えが及ぶ事を、訓練を受けている航空自衛隊が繰り返す訳もなく。 ミサイルでの攻撃を止め機銃での攻撃を試みる。 バリアは発生しなかったようだ。 全弾直撃する。 だが前回、ミサイルの攻撃を耐えた装甲が機銃などでどうにかなる訳がない。 軽い金属音をたてて弾丸は弾かれるだけだ。 人が波のように逃げ惑う。 ヴェノムとは逆方向に向かって。 しかし神楽はその流れに乗らず横道にそれた。 (ダメだ、駅とかは人がごった返してるに決まってる、どこか安全な場所に――) そんな事を思った矢先だ。 「キャ!」 また地面が揺れた。 神楽は、ヴェノムかと思い交差点を振り返ると、そこには三年前の英雄、ヴェノムをことごとく打ち倒してきた謎のロボットが佇んでいた。
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