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「エリス! こいつ引き離せ!」
「は、はい!」
一聖の言葉に従い神楽を引き離すエリス。
引き離した際に一聖が神楽の頭にチョップを当てた。
「落ち着け馬鹿」
「ゴメン、我を忘れてわ」
痛む頭を押さえながらそう言って、神楽は自分の行動を思い返して顔を赤らめた。
嬉しさから我を忘れていたとはいえ、父親以外の異性に抱き付いたのはこれが初めての神楽。
その胸中はいかがな物だろうか。
(う~わ~恥ずかしい~、なにやってんのよ私)
だそうだ。
「神楽さん? 心拍数が平均値をかなり上回ってますけど、どこか具合が悪いんですか?」
神楽が羞恥心から頬を染めていると、腕にしがみついていたエリスが心配そうに声を掛けた。
「ばっ、馬鹿! なんでもないわよ!」
そう言ってエリスを振り払うと、今度はエリスが涙目になる。
「あうぅ、怒らないでくださいよぅ」
「何やってんだかなぁお前らは、そろそろ行くぞ、整備の邪魔になるからな」
その一聖の声に後ろを振り返る神楽とエリス。
そこにはニヤニヤと笑いながら此方を見ている整備士であろう、作業着を着た青年や女性が数人立っていた。
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