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この日から、精密検査が始まった。
まず手始めに行われた血液検査では、男性に含まれる染色体のY遺伝子――性別を決める遺伝子が突然変異を起こしかけているという結果が。簡単に言うと、男であるXY遺伝子が、女を示すXX遺伝子に変化しようとしているらしい。それによってどんなことが起こるのか、要約すると――
まず、一番わかり易いものが男性器の女性器化。どうやって変化するのか、非常に気になるところなのだが、今までの症例を見ても“本人が気づかないうちに”変化が起こるらしい。寝ている時にでも変化するのだろうか。それから、乳房の発達。声が少し高くなる――声に関しては、もう既に発症しているのでよく分かる。
「……」
初めての検査を終えて部屋に戻った巧馬は、突然言われた診断に呆然としていた。
(……そういえば、遥にメールを送らないと)
昨日のうちに、この病室での携帯電話の使用は確認してあるので、和希の伝言を思い出して遥にメールを送ることにする。
To:遥
本文:とりあえず体調は落ち着いたよ、でもなんか〝無害奇病〟って言われる病気らしいんだ_
ここまで文字を打ち込んで、性転換してしまうことを今告げるべきなのか、巧馬は悩んだ。
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