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「――その(証拠)写真、ちゃんとあるんでしょうねえ!?」
「ナ、何ノ事デスカ?」
「またカタコトの日本語にならないっ!」
……似たようなやり取りを何度繰り返しただろう、これが日本伝統のゲームだったら『千日手』とか言われて片方が負けているよな……と、次のシリーズ物コミックを読み始めた勇がぼんやりと考えている。…手元にあるコミックのタイトルは、『サルの一手』という将棋をモチーフにした漫画だ……。
……
…
「――なぁお前ら、いつまで口論しているつもりだ?もう9時だぞ?」
遥が持っているコミックを全部読み終えてしまって手持無沙汰になった勇が、やれやれというように二人の間に割って入ってきた――というか、立ち上がったら二人の間に入り込んだ…といった方が正しいか……?
「ちょっ、勇!!邪魔しないでよ!」
琴音はまだ文句が言い足りないのか突然割り込んできた勇に文句を浴びせる
「――…」
遥は『ラッキー…勇を盾に逃げられるかも!?』などと甘い考えを巡らせている。
「――とりあえず今は休戦しろ、もう深夜帯になっているし、周囲の家に迷惑だろうし……ま、それでもきっちり決着をつけたいって言うなら、俺は構わないけどな。…とりあえず俺は帰って録画してある『今夜は歴史」を見る。じゃなっ」
「なっ…」
「ちょっ――!」
そういうと勇は二人のツッコミをスルーして読んでいたコミックを本棚に戻して自分の荷物を手に取ると、足早に遥の部屋を出ていって――
……玄関の扉が開閉する音がしばらくたって聞こえてきた。
……
「――さて、ここまで何も言わなかった遥に『大目玉笑い地獄の刑』を実行しないといけないようですねェ……」
勇がいなくなって、自重する必要がなくなったと判断したのか、琴音が遥にじわじわと近寄って行って――
「え…ちょ、琴音!?…何それ怖い!!」
遥は自分の部屋だというのに震え上がり、その場に尻餅をついて少しずつ後ずさりをしていって、そうしていく遥を、じわりじわりと琴音が部屋の隅の角へと追いつめていき――
「処刑☆開始!!」
隅っこまで追い詰めたところで遥に向かって琴音が飛び掛かり、『大目玉笑い地獄の刑』が下されたという――……
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