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琴音が遥の家に泊まった数日後――琴音の部屋での事。
「ほら、いつまでもだらけとらんと、制服の採寸行くよ?」
「え゛ぇ゛え゛――!?」
――オレが合格した高校の制服の採寸に行くって約束をした日なんだけど、なんか今日は外に出る気がしない。
何でだろう――
「ほら、“新しい”入学許可証も届いたんだし、早よ行かんと…!」
――新しい入学許可証ってのは、オレが性転換してしまったせいで、色々と変わってしまった部分を訂正する書類を病院の名前入りで学校に説明したら、『それなら仕方ないね♪』という軽いノリで新しいく発行してくれたものが昨日郵送で送付されてきた。
「――遥ちゃんと勇君も一緒にいくんでなかったの?」
「――!」
二人の名前を聞いて、少しだけ行く気が出てきた。
「二人に置いていかれても知らんよ――…」
ため息を付いて母さんが部屋を出ていこうとした瞬間――
「――ッ!」
自分も気づかないうちに身体が動いて、母さんを追いぬく勢いで階段を下り切ると、リビングの扉を開けて――そこで、凝固。
「ぁ…ぁが…」
「?琴音、どうしたん?」
先にリビングに入っていた母さんが振り向いてこう訊いてきた。
「な、んで…勇と遥がここにいるの!?」
二人を指さして大声で母さんに訊く。
「一緒に行くんでしょ?」
――ここに集合とか聞いてないんだけど!
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