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「・・・濡れちゃったよぉぉ・・・」
濡れた袖をダラ~と伸ばして遥はその場に立ちすくんでいる。
「まったく、これくらいは予想がつくだろうに」
勇がため息をつき、歩きながら言う。勇の後を追ってオレも遥の方に寄っていく。
「・・・大丈夫なの?」
「んぅー・・・濡れたのは袖口――だけみたいだけど・・・」
遥は自分をひと通り見回して、他に濡れちゃった場所はないかなと確認する。
「袖口だけなら、問題ないな。それに、そのジャンバーは撥水性だろ?」
勇に言われて、遥はハッとして――
「あ、そだった。なら大丈夫だね!」
と踵を返して、さっきよりも勢い良く駆けていく。
「勇、失敗したね?」
「スマン。つい口が滑った。」
どうやら、遥の暴走を止める術はないようで二人で遥の後ろ姿を眺めながらため息をつく。
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