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【制服採寸会場】
高校の校門を通ると、玄関前に立て看板が立てかけられてある。
「中で受付するんだっけ?」
「そう、男女別にな」
オレが言うと、勇が答えた。
「なら、琴音は私と一緒だね」
「へ?なんで・・・」
そう言って勇と遥を見る。
「琴音――もしかして忘れてる?自分の置かれた状態・・・」
「へ?・・・っあ、そうだ。オレ――…」
自分が性転換してしまっていたことを失念していたオレは、危うく悠と一緒に男子受付の方へ言ってしまうところだった。
「まぁ、琴音が男子制服を着たいならそれでもいいんだけどねw」
わざとらしく草を生やしたような言い方をしてくる遥に、オレは「・・・。」少し冷めたような目を向けた。
「・・・じゃぁ琴音、遥。また後でな」
そう言うと、勇は男子受付の方へと向かっていった。
「ほら、ふざけてないで。行くよ?」
「ほぇあ!ちょ、待ってよ琴音・・・!」
遥に声を掛けて、オレたちは女子受付の方へと歩き出す。
・・・
「――で、何を測るの?」
採寸を行う教室に向かう途中で、琴音は遥に問いかける。
「う~ん、基本的には男子と変わらないと思うけど――あ、バストは男子にはなかったよね。」
「え、それどうやって――」
「下着になって胸囲を測るんだよ?」
「え!?」
「大丈夫、測ってくれる人も女の人だから~」
・・・いや、オレが心配しているのはそっちじゃないんだけど・・・下着になって胸囲を測るんでしょ?それに、その時はオレと遥だけじゃなくて他の・・・
「――琴音、何考えているのか当ててもいい?」
「いやっ、いい!!」
見透かされていることはもう分かりきっているから、これ以上の恥を晒さないように遥に釘を刺す。
「他の女の子の――」
「フカーーっ!」
琴音の制止を無視して言おうとする遥に対して、我を忘れて抗議の声を上げた。
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