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「ただいまー」
琴音が帰宅して居間に入ると、来客が居た。
「おぃや、おかえりー」
「どうも・・・こんちわ・・・」
祖母と一緒にお茶を楽しんでいるのは祖母の大親友の江柄子さん。まぁ、この人は飽きもせずにここで話し込むよなぁ・・・
「おや、アンタ。この子誰だね?」
・・・そういえば、江柄子さんには言ってなかったような――
「いやだわ、孫娘よ。ほら、前に電話したねか」と祖母は笑って言う。そうすると――
「あぁーそういんね。巧馬君――まぁまぁ・・・」
・・・。何だか、祖母を中心とした人たちの情報伝達速度は異常だと思う。電子メールよりも速いんじゃないだろうか?
「琴音、大事な話しとるそい、向こう行っとんない」
「えぇわね、大した話もしない・・・」
「いや、まぁ――ごゆっくり・・・」
そう言って琴音は襖をゆっくり閉じると、廊下の奥に居た母と目があった。
「・・・いつ来たん?」
「琴音が採寸に行ってすぐ。」
「早ぁ・・・ってか、長ぁ・・・」
呆れて琴音も思わず方言が飛び出した。
・・・
・・
「琴音―来たぞー」
自室でくつろいでいると、勇が訪ねてきた。
「おー」
当たり前のように琴音の前に腰を下ろす勇を見て琴音はひとこと。
「オレが女になっても、勇は変わらんのね」
言われた勇は「はぁ?」と首を傾げる。
「いや、普通男子って女子の部屋に入る時少しは遠慮があると思うんだけど――」
そう言われた勇は、「あー」と言葉を漏らして
「遙でそういう事には慣れちゃったんだよなぁ・・・」
「・・・。」
そう言う勇に、琴音はつまらなそうにため息を付いた。
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