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翌日、朝。
「おっはよ~!琴音!」
朝食を食べている最中、午前8時を少し過ぎた頃に遥が嵐のごとくやってきた。
「……まだご飯食べてるんだけど……」
おまけに寝間着だし。と面倒臭そうに遥に向かって言う。言われた遥は、そんなの知ってるよと言わんばかりに開き直って――
「琴音が逃げ出さないように、見張りに来たんだよ!」
そうカンラカンラと笑って言う。言われた琴音が、遥を見上げて失笑したのは必然……だろうか。
「――そいえば、勇は?呼んだはずなんだけど。」
いくらなんでもこんな時間からくるわけ無いでしょう!と心の中でツッコミを入れてから「勇なら、昨日来てたけど……そんなこと、言ってなかったよ?」と味噌汁のお椀を片手に答える。
「あっそう。ところで――」
「ん?」
遥の目線が、琴音が持つお椀を凝視していることに気づく。
「美味しそうだねぇ……そのお味噌汁……」
「ひっ!?」
琴音が見た遥の目は、腹をすかせた肉食獣が獲物を見つけた時のようだった。
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