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「――で?どこに行くの?」
家を出てすぐに、先を歩く遥に行き先を尋ねる。
「サプライズだから、教える訳にはいかないよ~でも、すぐにバレちゃうかもね」
それに、琴音ならこの方角に進めば何があるか分かるでしょ?と、遥は進行方向を向いたまま言う。まぁ、家を出てずっと東のほうへ歩いていれば……何となく想像はつくけど。
「クラスが違うのに誘われた俺も、行き先は知らないんだけどな」
「え、そうなの?」
「『勇は琴音に教えるかもしれないから』って理由で教えてくれないんだよな」
「採寸の時の前科があるからね、侮れないよ」
遥の言葉に勇が「ちょっと待て」とツッコミを入れた。遥も突っ込まれることは予想していたのか、のらりくらりと勇の指摘をかわしていく。
……この二人のやり取りを見て、安心している自分がいる事がおかしくなって、無意識のうちに笑っていた。
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