58人が本棚に入れています
本棚に追加
「これは何の臭いだっ
何のっ」
普段冷静な誠だけど、少し焦っているように見える。
「こんな目に滲みるような臭いをどうやって作り出したッ!」
もうホントにバイオテロ扱いだな……
「いや、アレだ。
小腹が減ったら困るじゃねぇか!」
「唐突だね……」
脈絡が無いのはいつもの事だけど……
「で、俺は考えた。
小腹が減ってる状態じゃ最高のパフォーマンスは実現出来ない、と!」
身振り手振りを交えてハヤトは話していく。
「ならばどうするか……?
閃いたんだッ!」
「ほぅ、何をだ?」
両手を組みながら誠は話を聞いている。
「常に食い物を鞄に忍ばせりゃ良いんじゃねッ!?って事にッ!!!」
「「今すぐ鞄ごと捨ててこいッ」」
誠と僕どころか、話を聞いていたクラスメイト全員から容赦なく突っ込まれる!
要はコレは食べ物が腐った臭い……
ハヤトの口振りからすれば、最後にいつ開けたのかすら分からないほど前になる。
「どんな化学反応を起こせばこんな毒ガスになるんだ……」
「俺ぁ、とんでもないモンを生み出しちまったみたいだな……」
「今、鎮火を試みているが……」
「鎮火?」
数人の男子が何かを持ってハヤトの鞄の前に立っている。
「何あれ……?」
「備蓄のファブ○ーズだ」
あぁ、なるほど……
結局、ファブ○ーズじゃあ根元を絶つまではいかなかった。
化学科に居てる人が特製の消臭剤の原液を提供してくれたお陰でこのバイオテロは終息したのだった。
採取したサンプルから分析した結果、未知のウィルスが検出されたとかされなかったとか……
最初のコメントを投稿しよう!