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いや、それよりも、可燃物のゴミとなってる可能性の方が高いな……
「でも、ここの桜の絵は捨てがたいわね……」
「好きなの?
『狂い咲きの血桜』が……」
「狂い咲きの血桜……ね
学校の怪談なんて面白がって作られたモノばかりなのよ?」
現実的な事を言い出す
「う……まぁ、僕はそんなに怪談が好きじゃないし……
マユツバであってくれる事を望むけどさ……」
「それにホラ……」
櫻庭桜花さんが放置されている机の上に立つ
「こんなに綺麗なのよ」
両手を広げて、まるで桜の花びらを受け止めるようにする
「本当に好きなんだね」
態度で分かる
「えぇ、だから此処が一番好き」
あ……
だから、此処の絵が欲しいのか……
もう一枚……
描いてる時間は……
そう時計を確認しようとした時だった
ー--キーンコーンカーンコーン……
「あ……」
授業終了のチャイム……
こっから教室まで、19分かかる……
「やばい、行かなきゃ!」
「慌ただしいわね……」
「また、今度来るよ
その時、桜の絵を描けたらあげるね」
「無理しなくても良いのよ?
わたしのワガママだしね」
軽く、桜庭桜花さんが手を振ってる
「じゃあ!
桜庭さん!」「じゃあね、井尻君」
転ける
「……じゃあね、桜花……」
「またね、ヒジリ」
そして僕は全力で走り始める
変わった娘だったなぁ……
しかも、美人だった
自然と顔がにやけてくる
因みに課題の提出はなんとか間に合った
桜の絵、渡すのが少し惜しく感じたのは……
きっとあの子が気に入ったからだろうか?
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