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「それなら、解決済みだ」
誠がうどんの器を丸ごと持ち上げて汁を飲み干す
「そうなの?」
「実際、不良の溜まり場になっていて、教師達の再三に渡る警告にも耳を貸さなかったみたいだがな……」
誠はこういう事情には詳しい
学園は広くて、人の総人数も教師だけでは管理が行き届かない
そこで出来上がったのが競技格闘技の経験者を募った治安維持の目的の元学校が作り上げた委員会
『森羅執行委員会』
誠はそこの会長を二年で勤めているのだ
だから、その手の話は黙っていても入ってくるんだろう
「誠がどうにかしたの?」
『森羅執行委員会』は時には実力行使に出る、と聞いた事があるが……
「話の通じる相手ではないからな……
だが、不良達をどうにかしたのは俺じゃない」
少し、汁を含んだカツを口に運びながら誠は言う
「じゃあ、誰……?」
「……暴れ桜」
「……え?」
この学園で有名な桜は……
さっきから話に出ている『狂い咲きの桜』
学園をぐるっと回る道にある『並木桜』
……だけだったような?
第一、暴れ桜って……
暴れるの?
桜が?
木なのに?
想像が付かない……
「あぁ……
暴れ桜ね……」
ハヤトにも心当たりがあったみたいだ
「暴れ桜って……
何?」
僕にしてみれば、未知なる新用語だ
「なんだ?
おがっち知らねーの?」
まるで知ってて当然、みたいな感じでハヤトが言う
「聖はあんまり他人に興味を示さないからな……
知らなくても無理はないかもしれん」
「二年の普通科にすっげぇ美人が居るの、知ってるか?」
二年の……
普通科に?
この学園に来て普通科を選ぶのは、物好きと相場が決まる
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