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「え?」
ほら、気づいてないっ
「俺、何か間違ったか?」
落ち着いて、難しい日本語を使う誠に対して、ハヤトの国語力は思いの外低い
スゴい間違いも平然とやってのけるからなぁ……
身体を動かす事はかなり得意みたいだけど……
事、勉強に関しては残念な感じだ
「気付いていないのか……
お前ほどの強者はそうそう居ないな……」
「へっ
褒めても何も出ないぜ?」
「ハヤトの前向きさはみんなの憧れだね……」
きっと誰でも強く生きていけそうだ
「おいおい、べた褒めかよ」
照れるぜ、と言わんばかりに前髪を掻き上げるハヤト
放置もツッコミ……
放置もツッコミ……
自分に言い聞かせる
「それで、聖は無事だったのか?」
無事って……
「猛獣を通り越して天災のような言い方だよね……」
仮にも、女の子なのに……
「というか、僕も寝てるところを起こしちゃったんだけど……」
「なにっ!?」
ハヤトが飛び退く
「お…おがっちは一体何処を折られたんだ!?」
そして心配そうに僕に寄り添ってくる
暑い……
って言うかハヤトは折られたんだ……
「いや……
特に何もされたかった……」
と言って思い出す
「ローキックくらいかな……」手を握った時に見舞われたモノだ
「足かっ!
亀裂か?複雑か?粉砕か?」
「折れてないって……」
「まぁ、火の無い所に煙は立たん……
障らぬ神に祟りなし、だな……」
それが誠の見解……
如何にも、『らしい』と思う
でも、約束しちゃったしなぁ……
あの桜の絵を描いてあげるって……
怖いのも痛いのも好きじゃないけど……
僕の絵を欲しいって言ってくれた人……
「暴れ桜……か」
「えっ!
あいつが居るのかっ!?」
すっかりハヤトは『暴れ桜』の言葉に怯えていた
一体何をされたんだ……
「関わりに行くのか?」
不意に、誠から呼びかけられる
「……え?
誰に……?」
「桜庭桜花に、だ」
誠の表情は崩れない
だから何を思ってこの質問をしたのか、理解が及ばない
「……約束、したから……」
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