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春も少し過ぎて暑さが目立ち始める頃……
6月
芸術科の僕は平凡に授業を受けていた……
先生の話が暇で仕方がない……
ルノワールがどうとか、どうでも良いよ実際さ……
僕の専攻は絵画
主に風景画を描いたりしているけど、人物画も嫌いなワケではない
要は絵が好きなんだ
絵が好きと言うだけで……
別に絵の歴史なんて気にしてないんだよね……
ゴッホがどう感じて何を描いたのかとかも、正直興味が薄い
だってそれはゴッホだからそう感じた事であって……
きっと僕なら違う絵になるだろう
こんな考え方、屈折しているのだろうか?
まぁ、屈折してるのも、僕自身だからね……
「さて、次の時間は写生だ
みんな、思い思いの対象をデッサンしてくれ」
その言葉で僕は前に向き直る
うん、やっぱり専門科に通うなら、実技が華でしょ
それに、この学校は本当に広い
それこそ、大型のショッピングモールが丸ごと余裕で入ってもお釣りがくるくらいだ
何でそんなに広いか?
それはそれ、大人の事情ってヤツなのかな?
何でも、過疎化、高齢化で丸ごと村が廃村になったんだって……
その土地自体がまま遊ぶことになっちゃって……
そんな時、とある金持ちがその廃村全部の土地を買い取ったんだってさ
そして広大なこの『森羅学園』が作り上げられたんだって……
途方もない話だよね……
でも、その途方もない話はコレで終わらない
この森羅学園には小、中、高、大の各学校は元より……
各専門の勉強が出来る学科を中学生から選ぶ事が出来るようにしたんだ
それも、所謂『なんちゃって』な感じではない
例えば、芸能科を選んだとしたら……
授業を受け持つのは現役の今を輝く有名人だったりする
音楽科なら、実在のアーティストが直接指導をするとかなんとか……
僕の居る芸術科でも、有名な人を招いて講師として鞭を振るってくれる
普通は嬉しがるところなんだけど……
僕はどうにも、他人のセンスの押し付けにしか感じなかったりする
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