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おっと、次は写生の時間だった
僕はいそいそと愛用の道具を取り出す
この学園は先に挙げた理由からモチーフに事欠かない
(今日は何を描こうかな……)
加えて、元々がド田舎だったから、風景も綺麗だ
写生の時間は学園内を自由に移動できるのも魅力だね
今のうちに、昼食の予約を済ませるのも忘れないで……と
スケッチブックにパステルを持ち出して僕は教室を後にする
写生の時間は授業開始のチャイムで始まって、終了のチャイムで自動的に終わる
要は僕らにとっての『自習』に近いかな?
食堂に行って、食券を買う
ここは僕らが朝昼夜と三食食べる場所でもある
学園が広大なだけに、食堂も学園内に五カ所もあるのは、世界を探しても森羅くらいだろうね
生徒総数とか、スゴい事になってたし……
中等部の校舎を通り越す
「おーい、おがっちー!」
第三グラウンドから声がした
まじまじと手を振ってる影を見てみると……
「あー、ハヤトー!」
遠目に手を振っている黒の短髪で暑苦し……
もとい、爽やか……
ではないし……
少し、アツい男は池上 颯斗(いけがみ はやと)
スポーツ科に通う幼なじみだ
僕と一緒に此処を受けて、見事に受かったんだ
……といっても、向こうは推薦貰っての入学だけどね
「何処行くんだー?」
「今から写生ー!
モチーフ探してるんだー!」
スケッチブックをぶんぶん振ってアピールする
「また絵ぇ描いてんのかっ!」
そう言う学科なんだけれどな……
「ハヤトはー?」
「俺は、野球だってさー!」
よく見るとハヤトの肌は黒く焼けていた。
(ずっと外で頑張っているんだろうな……)
ー--キーンコーンカーンコーン
「授業始まった!
じゃなー!」
向こうで教師が集合をかけていた
「うんー!」
此処に来てからはなかなかみんな充実してる日々を送ってるみたいだ
地元では斜に構えた人が多かったからなぁ……
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