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「そんなん見てるとよ、全然笑えねぇよな」
それは確かにハヤトの言う通りだ。
「俺とて笑うつもりは無い。
だが、当人の了承無しに俺達が出来る事とは何だ?」
「頭悪い俺が分かるかよっ!」
胸を張って応えるハヤト、知ってたけどもッ!
「あ、みんなに呼びかける、コレだっ!」
ハヤトが思いついたように声をあげる。
「何と呼びかける?」
「そんな事もわかんねぇのか?
これだから剣道バカ一代様はよ……」
野球バカ一代のハヤトがふんぞり返って説明を始める。
「そりゃアレだ。
イジメはいけねーぜ!的なモノをだな……
いや、待てよ?
いじめ、カッコ悪いでも良いか……?」
「どっちでもいいよ……」
正確にはどうでも良い
「なら、お前はソレを知らないのか?」
『ソレ』とは、この場合……
イジメはいけない事と言う認識の事だろう。
「バカにすんなよッ!
俺はそういうみみっちい事が大っ嫌いなんだよっ!」
「そう言う事だ。
人を攻撃するのが悪い、と理解していても他人を傷付ける人間はこの世には幾らでも居る。
そんな連中にイジメが悪いとかどうのこうの言っても馬の耳に念仏だ」
要は……
桜庭さんの助けにはなれない……?
「……俺にはよく分からんが……
聖、お前がそこまでして肩入れする理由が解らない。
下手をしたら、桜庭に向いている矛先がお前に向くかもしれないんだぞ?」
「……かもね」
でも僕には友達が居る。
誠やハヤト、それに光ちゃんや……
残りの数少ない友達が居る……
だから、何でも耐えれそうな気がする。
でも桜庭さんは?
今日も……
昨日だって独りだった。
「……普段人に興味を持たない癖に、興味を持った人間にはいつでも全力になるな……」
はぁ、と誠が溜め息をつく。
「ご……
ごめん……」
それで迷惑をかけた事もあったっけな……
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