森羅学園

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~3時限目~ 専門科目の時間だ。 「今日もかっ飛ばしてくるかぁ!」 ハヤトは肩を回しながら意気揚々と言う。 「元気だね」 「おがっちはしっかり休んどけよ?」 「適当に提出するのを仕上げて休んどくよ」 寝不足か祟って集中出来ないかもしれないけどね…… 「そうしておけ……  頑張るのは良い事だが、適度に息を抜くのも必要だ」 「うん、分かった」 それぞれが行くべき場所に行く…… さて、僕も行こうかな…… 僕は教室を後にする。 教室から出て、校舎を後にする。 さて、何処で絵を描こうかな……? 目的は…… 今回はその後の睡眠不足の解消だからね…… 昼寝しやすい場所が良いかな…… 『日差しが差し込んで』 頭に桜庭さんの言葉が蘇る。 (昼寝に最適か……) 狂い咲きの桜の場所にしようかな? ひょっとしたらまた桜庭さんが居るかもしれないけど…… そうと決めれば場所が遠い、即行動しなきゃ寝る時間が無くなっちゃうよね。 足を女子寮に向けて歩き出す。 女子寮から更に裏口へ行く。 青々と茂る緑の中を進んで少し開けた場所に…… そこに映るのは淡いピンクの花弁を付けた桜の木…… 一年を通して咲き乱れている桜…… 「やっぱり、キレイだな……」 自然と言葉が漏れる。 「あぁ、そうだね」 何気なく放った言葉に急な同意を得る。 桜庭さん……? 振り向く前に声の主が当人でない事を悟る。 男の人の声だったからね。 「……こんにちは」 「やぁ、こんにちは」 すらりと伸びた身長、それに色素の薄い髪が特徴的な男の人だ。 「しかし不思議だね」 制服は高等部…… 「……桜がですか?」 見知らぬ人相手ではなかなか話すことが出来ない。 と言うよりも息が詰まりそうにもなる…… 「あぁ、狂い咲きって言うのは病気なんかじゃない、鳥とかの『食害』に遭った木々が開花の時期をずらす、言わば自己防衛策さ」
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