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夜。
渚(当時は彼氏)に、妊娠を告げる。
正直・・・「まさか」の妊娠だった。
排卵日のセックスは避けていたし
もちろん、避妊もしていたから。
渚からも
ゴムが破けた
なんて報告はなかったし。
それでも
私の中には、間違いなく
小さな命が宿っている。
出産する以外に、選択肢はなかった。
「・・・責任取れ、とは言えない。合意の上での行為だったわけだし。ただ、私は結婚してもしなくても、この子を産む」
甘い考えかも知れない。
でも、いけると思った。
就職してから約2年。
産休、育休をもらい、戻る職場もある。
幸い、市の保育園は空いていたから
預ける場所もある。
それなりに貯金はしていたから
復帰までの生活も、どうにかなる。
・・・余裕はないけれど。
さぁ、どう出る?
結婚はしなくても
認知だけは、してもらう気でいた。
渚は、しばらく黙ってから
「仕事頑張るから、一緒に育てよう」
と言った。
この時
渚の本心を見抜けていたら。
後々になって、こんな思いを
しなくて済んだかもしれない。
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