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2人暮らしが始まって数日、色んなことがわかっていた。
まず、ソウが触れないのは、私だけってこと。
もちろん、他のものにも普段は触れないのだけど、念というか…気持ちを込めれば触れるようになるらしい。
それから、飲食はできないし必要がないってこと。
触るだけならできるけど、口に含んでしまうと体を透けて、全てそのまま床へこぼれてしまうみたい。
でも、死んでからのことは何も話してくれなかった。
やっぱり、思い出したくなんかないんだよね…。
そんなこんなで、私は今日も1日を始めようとしている。
「ヨミ、ヨーミ!」
「ん…うぅん…?」
「おはよう、もう8時だよ?」
「っわぁ!」
眠気眼に飛び込んできたソウの顔のアップに驚いて、私は飛び起きた。
「もー!いい加減慣れてくれたっていいのにー」
「い、いや、まだ数日しかたってないのに無理だって…!」
いや、っていうか6年ぶりに会った好きな人の顔のアップにときめかないほど、私は経験豊富じゃない。
その好きな人が更にかっこよく成長していたら、なおさら。
「まぁそういうヨミ可愛いからいいけどね」
「なっ…朝から何言ってるのっ!」
こんな感じで、私は死神男子に翻弄されてしまっている。
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