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私、佐倉与未と、多野爽市は小さい頃からの幼馴染。
お互いをヨミ、ソウ、って呼ぶ合うくらい仲が良くて。
私は、ソウが私の名前を呼ぶ時の、高めで澄んだ声と優しい笑顔が大好きだった。
だから、
「俺、ヨミのことが好きだよ」
そうやってソウに告白された時、本当に本当に嬉しかったの。
何度も一緒に笑って。
手を繋いで一緒に帰って。
別れ際にはキスをして。
幸せな毎日が驚くくらい広がっていて。
私は子供なりに、このままソウと結婚できるって思ってたの。
…あの日までは。
「ソウが…死んだ…?」
中学3年生の、冬のことだった。
凍結で滑った車にひかれた、不運な事故。
それはあまりに突然に、そしていとも簡単に、私から幸せを奪った。
ソウが死んだその日は、見たこともないくらい綺麗なパウダースノーが、街を白く包んでた。
それから雪が降るたびに、私はソウを思って泣けてきた。
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