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私の顔を見て、ソウは少しだけ笑って。
「…俺がこの世に、ヨミに未練がありすぎてさ…神様が1年だけ猶予をくれたんだ」
「神、様…?」
「やっぱり、信じられない?」
「そっ、そうじゃなくて!」
違う、そうじゃない。
さっき少しだけ感じてしまった怖さも、なければいけないはずの不信感も、今の私には全くない。
…嬉しいんだ、きっと。
あの頃、本気で恋をしていたのが私だけじゃなかったことが。
「会いにきてくれて…嬉しくて」
他の誰でもなく、私に会いに来てくれたことが。
「ヨミ…来年の冬まで…一緒に居てくれる…?」
制限付きのその言葉は、まるでプロポーズみたいに優しく愛しく響いて。
「…うん…っ」
私の頬にはいつの間にか、あたたかいものが流れていた。
私はずっと、あの頃伝えられなかったたくさんの言葉を、どうしてもどうしても、ソウに伝えたかった。
みんなに隠れて泣きながらしたたくさんの後悔を、いつか失くしたかった。
来年の冬、もう後悔をしないようにしたい。
こんな幸運を無駄にしたくない。
…こうして、私とソウの不思議で温かい、2人暮らしが始まったの。
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