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煙管をふかしながら壱(イツ)と呼ばれた遊女が嘲笑して言う。 「男は顔じゃないよ。金さ。 こんな国じゃあね、金を持ってる奴が勝ちなのさ。」 菊朧(キクロウ)という遊女は、自分は面食いだからいいのさと開き直る。 「お壱ちゃん、そんな悲しいこと言いなさんなよ。 菊朧、男は金でも顔でもないさ。懐だよ。懐の深い男が良い男ってもんさ。」 二人の後ろから割って入ったのは紫(ムラサキ)という遊女。 壱と紫は“花鳥楼”の一番人気の格上の遊女だ。
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