287人が本棚に入れています
本棚に追加
/202ページ
煙管をふかしながら壱(イツ)と呼ばれた遊女が嘲笑して言う。
「男は顔じゃないよ。金さ。
こんな国じゃあね、金を持ってる奴が勝ちなのさ。」
菊朧(キクロウ)という遊女は、自分は面食いだからいいのさと開き直る。
「お壱ちゃん、そんな悲しいこと言いなさんなよ。
菊朧、男は金でも顔でもないさ。懐だよ。懐の深い男が良い男ってもんさ。」
二人の後ろから割って入ったのは紫(ムラサキ)という遊女。
壱と紫は“花鳥楼”の一番人気の格上の遊女だ。
最初のコメントを投稿しよう!