凛として黒羽

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さて、今日の教訓だが、『神様は俺が嫌いである』。いやこれ教訓じゃないな。どうしようもないし。 最後のは一概にもそうとは言えないけど、大半はきっと奴の仕業だ。 まとめっぽく仕上げてしまったが、まだ夕方であり、ここはゲームセンターだった。 まず言い訳から。 だって無理じゃん、三対一とか。三人が等間隔に並べば、絶対にパック入らないし。勝てる訳ない。死亡フラグを立てた俺は○対九という大差で敗北し、三人にご褒美を強要されている次第である。 せめて帰ってからとかにしてくれないかな。まあ、無理だよなあ、愛実だもんなあ。 「で、誰から?選ばせてあげる」 選ばせないでください。 「というか、今回は鈴斗君主体なんだから、鈴斗君が選ばなきゃ不自然でしょ?」 「いや、こんな人前で違う女の子と次々キスする方が不自然だと思うんだが」 「黙れ敗者」 「一蹴された!?」 愛実のあまりに理不尽な物言いに、必死で涙を堪える俺。 とは言え、愛実も愛実とて引くつもりはないらしく、肝心なところで甘い俺は言われるがままに三人を指名するしかないのであった。 家に帰ってみると。 「あ、黒枝、ただい――」 ふいっ。 猫又幼女を見かけ、声を掛けようとしたのだが、無視された。 無視された。 「うわああぁぁぁぁあああぁぁああぁぁっ!?黒枝に無視されたあぁぁぁああぁぁああぁぁっ!?」 無理だった。耐えられねえ。ロリコン?知るか。 「うるさいお兄ちゃん。黒枝、ただいま」 「おかえり」 ちなみに、鈴莉が言うとこうなる。あからさまに俺だけが無視されていた。 何で、何で!?俺、何かしたっけ!? 思い返してみても、心当たりはない。別段、何か気分を害する事をした記憶はない。 やべえ死にたい。どうしよう。 「終わりだあぁぁ……この世の終わりだあぁぁ……」 「大袈裟だなあ。しょうがないかな、私が慰めてあげるよ、性的な意味で」 「よし復活」 「おい兄、そんなに私としたくないか」 鈴莉が睨み付けてくるが、軽く去なしてやる。 鈴莉には悪いが、物事の優先順位が違う。 最優先事項は、黒枝の機嫌を直す事である。 しかしどうやって? 鈴莉とはここ最近ずっと仲良くやってきたし、九紅璃とは喧嘩なんてあるはずない。健気可愛い凜音は言わずもがな、愛実も超絶良い娘である。
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