凛として黒羽

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つまりは、仲直りの仕方を知らないのだ。理由もなく黒枝が怒る訳もないし、多分俺が悪いのだろう。 生憎と思い当たる節がないので、どうにか本人の口から聞き出せないだろうか。 という訳で夕食。 「なあ黒枝――」 ふいっ。 「なあ――」 ふいっ。 「な――」 ふいっ。 ……ダメだあぁぁぁぁ、会話すらさせてもらえない。 そろそろヤバいです、精神的にキツいです。 俺以外――鈴莉や九紅璃や凜音とは普通に話してるのに。 「うん、お兄ちゃんがいけないね、それは。まあ、私が言えた事じゃないんだけどさ」 事情を説明されたらしい妹にも責められ、俺は再起不能目前だ。 が。 なんだかんだ鈴莉は優しかった。なんたって、ヒントを残してくれたのだから。大方黒枝に口止め食らっているのだろう。 「それを言うなら、私もですよ」 凜音からも、ヒント。 箸を握る手が止まる。 三人がいまだに卓を離れず黒枝と喋っているのは、俺に思考時間を与える為だ。 ならば考えろ神酒島鈴斗。お前はそれしか出来ないのだから。 ――。 時間にしてみれば一瞬だった。一瞬で、思い出した。 それは今朝方の事。黒枝が怒るのも無理はない。当然だ。俺はそれだけの事をした。 箸を置いて席を立つ。 「黒枝」 呼ぶと、刹那目が合った。 「そっちの話が終わったら、俺の部屋に来い」 上から目線の命令に近かったが、むしろその方が伝わる。 鈴斗が食卓を去った後。 「鈴斗ってば大胆だね。すっごい肉食系っぽかった!」 「黒枝を食べる気なんだあの兄。あいちゃんや私じゃなくて黒枝が一番かー」 「そういうのを世間一般ではペドフィリアと言うんですよね?」 「あちゃー、とうとうロリコンからグレードアップしたか。上位互換のジョブチェンジだね、うん残念」 「シスコンはこれ以上グレードアップしないのかな?シスコンはあくまで家族愛であって、恋人愛じゃないもんね、理不尽だこんなの!ロリが属性的に妹を上回ってるなんて認めないぞ私は!」 「いいじゃないですか、私なんてそんなの一つもありませんし……」 カオスが更に加速していた。 もう鈴斗の部屋行ってきていいかな私。 あまりこの場に居たくないんだけど。 鈴斗もどうやら思い出したようだし。まあ、許してあげない事もない、かもしれない、のかな? 少しくらい、強引な要求しても……いいよね?
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