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「あいちゃんはいいよね。その立場上、大して理由もなく出来るんだからさ」
それに対して私はどうだろう。どんな大義名分を引き合いに出せば、倫理とやらはお兄ちゃんと私の背徳プレイを許してくれるのだろうか。
「んー、じゃあ五回に一回くらいは混ぜてあげる」
「よし、あいちゃんが一日に五回やれば、私は毎日出来る訳だ」
「あたしたちに死ねと?」
「まさか」
死ぬ訳ないじゃん。何だかんだで二人とも性欲魔神なんだから。その内学校とかでし出したら救えないけど。
「もう、この話はお終いね。それよりも、目の前の敵をどうにかしないと」
「敵とか言っちゃってるし」
どうしよう。私が末期なのは自覚してたけど、あいちゃんも大概だ。
お兄ちゃんの言う通り、『その気』があるんだと思う。やめて、そのスペックの高さで萌えポイントまで稼がないで。
「どうにかしないとって言っても、具体的には?正直、あんな緩みきった笑顔見せられたら私、エアーブレイク出来ないよ」
「ああいう雰囲気をぶち壊すのが楽しいんじゃん。分かってないなあ」
「鬼畜過ぎるわ!」
腹黒い、というかどす黒い。我が親友ながらぶっ飛んでる。
「どうするのがいいかな?すーちゃん」
「私にその片棒を担がせないで。お兄ちゃんに嫌われたくない」
「そんなに嫌われないと思うけど。あるいはちょっとだけ」
すっかり疎遠になってしまう、という最悪の事態にはなり得ないだろうけど、少しでも株を下げる訳にはいかない。四の五の言って、兄妹という壁は大きいのだ。そのちょっとが私には大ダメージなのだ。涙ぐましい努力をするより他に手はないのだ。ぐすん。泣けてくるなあ。
「じゃあ、九紅璃や凜音ちゃんは?すーちゃん使い物にならないし」
「使い物にならなくて悪かったね」
ホント、えげつない性格してるよ。
「あたしは別に何番目でもいいし、そういう事は考えてないなあ」
「私も、新参者がそんな真似は出来ませんし」
良かった、仲間が増えた。
「あたしの単独犯って訳?まあいいけど。今なら、それを実行するだけの力があるから」
「決め台詞のところ失礼するけど、やろうとしてる事は最悪だからね?」
「黒枝ちゃんの目の前で行為に及ぶか……」
「最悪を超えてきた!?」
てか私の話聞いてないし。
誰でもいいからこの娘を止めて。私じゃ無理だよう。
誰か――
「何してんだ?お前ら」
――終わったと思った。
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