凛として黒羽

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「死にたくない?」 「そりゃあ、勿論」 「何で?鬼畜変態ペドフィリアの鈴斗君にとってさっきの時間は至福だったんでしょ?ならもういいじゃん」 「うわっちゃー、お前の中での俺ってば、最早すっかりそんな位置付けなのね」 鬼畜変態ペドフィリアって。相当末期じゃないか。 「何で死にたくないの?やっぱりやり残した人が居るんだー」 それは。 「当たり前だろう。そんな彼女不届きな彼氏が居てたまるか」 うん、随分と恥ずかしい台詞を口にした事は認める。現に、愛実から顔を背けそうだし。 でも、羞恥に先に屈したのは愛実の方だった。 「……ズルいよ鈴斗君。急にそんな事言うなんてさ」 「……なんか、言わざるを得ない状況だったから、つい。その……ごめん」 「何で謝るの?そういう事言われると、あたしとしては……嬉しいから」 何この初々しいカップル。どこの誰だよ。あ、俺たちか。 「おいそこの熱愛カップル、いい加減話を進めろ」 「今回は鈴斗君に免じて不問とします」 「終わらせちゃったよこの娘」 「さあ鈴斗君、いちゃいちゃしよう」 「あいちゃん、自分の利益を優先しやがったな!」 「よしきた」 「お兄ちゃんもやめて!」 鈴莉に制された。え、ダメなの? まあ、悪ノリ成分が大半を占めていたので、ストップをかけられないとは思っていなかったけど。 「ダメだよ、今日は私といちゃいちゃする日なの」 「いつ決めたよ」 どんな日やねん。少なくとも家族会議で決めた訳ではないな。 「じ、じゃあ、私と一緒に寝る日っ」 「切羽詰まってんなお前。だが断る」 「じゃあ抱いて!」 「詰まり過ぎてむしろスッカスカだな、その脳みそが」 絶対何も考えてないだろ。 「じゃあ一緒にお風呂入ろっ」 「嫌だ、子供じゃあるまいし」 「みんな一緒でいいからっ」 「狭いわ!」 家の浴室のサイズが一般のレベルを超える事はないよ。六人一緒は無理だ。いや、充分な大きさがあっても入らないけど。 「銭湯を貸し切るというのはどうでしょう?」 「凜音も、要らない助け船を出すなよ!」 神酒島ファミリー唯一の良心だと信じて疑わない凜音までそっちサイドなのか? だとしたら、本格的にどうしよう。やっぱり凜音の弟君を呼んだ方がいいのだろうか。俺の保身の為に。 今まで発言していない九紅璃も、多分あっちだからなあ。頼れる人間が居ない。
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