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俺は彼女の病気を知ってる。
彼女がなんとしても俺に教えないようにしていた病気。
そして今日、彼女が俺をここに呼んだ理由も・・・
俺はただ、彼女の言葉を待った。
伝えたい事はいっぱいあった、伝えてはいけない言葉がそのほとんどだ。
苦しむのは俺でいい、彼女が幸せなら・・・それでいい。
「別れようなんて言ってごめんね」
「いいよ、俺の事キライなんだろ」
「イジワル・・・」
「謝まるなよ、お前の考えなんて言わなくてもわかる」
「あは、ありがとう。やっぱり、付き合い長いだけあるね」
「・・・寒くないか?」
「寒いよ、寒い」
少し脱力しながらも余分に持ってきた服をかけてやった。
いつもこいつは考えてない。いつも俺が考えてやらないと、いつも困っている・・・
「それじゃ足りない、まだ寒いよ」
「それしかない、贅沢言うな」
「だめ、寒いよ。もっと、もっと強く」
仕方ないとグッと抱き寄せる。髪の香り、温かい体温、柔らかい感触、それら全てが愛おしく感じる。
しかし、寒くないようにと強く抱きしめてもなお、彼女の震えは収まらなかった。
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