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「寒い、寒い、寒い、寒い、寒いよ・・・」
「まさかっ!!」
発作が始まっていた。腕の中で体を縮める彼女の体の震えが大きくなっていくのを感じた。
「だめだ!まだダメだ!しっかりしろよ、大丈夫だから、お前は大丈夫なんだ!!」
彼女の体をしっかりと包み、大丈夫だとひたすら言い続ける。
「あは、暖かい。ありがとうね、大好きだ」
その言葉通り、縮めていた体を戻し、少し震えも納まった。
ただし、俺の腕を通り抜け、体温と力はゆっくりと確かに薄れていった。
これが、俺をここに呼んだ理由。寒がりのくせに、車から出ようなんて言って、病気の事なんて一度も言わないで・・・
言ってくれれば俺だって言えた事もあるし、もっと、お前のわがままを聞けたかも知れない・・・
でも、今はそんな顔は出来なかった。
こいつに後悔だけはさせたくない・・・。
「俺も・・・好きだよ。大好きだ・・・愛している」
いくら待っても返事は・・・なかった。
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