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なんて一騒動を終えて、やっと迎えた放課後。といっても始業式とホームルームだけだったので午前中解散だ。
俺は美智留のラクロス部のミーティングが終わるのを、昇降口で待っている。
「はあーあ」
大きくため息を一つ。
早く家に帰って由香里のためにお昼ご飯を作ってあげたいのに、まったく美智留のヤツ。
しかしまあ、由香里も由香里で美智留のことは好いているようだし、連れて行くと喜ぶからそれはそれで感謝している。
由香里の喜ぶ姿が見られるという意味で。
「……あっ」
俺が何を考えるでもなく立っていると、向かいの廊下から朝川さんが歩いてきた。
俺と目が合うと彼女は律儀に一礼して、そそくさと自分の下駄箱を探し始める。
……探す? いやいや、普通覚えるだろ、一回や二回使えば。
「……ここじゃない?」
見かねて下駄箱のある一画を指差す。
出席番号順になっているとはいえ、転入生の分を間に入れるわけもない。
となれば、女子列の一番下だろう、との推測。
しかしその推測というのも確信があってのことだ。
なんせ、美智留と朝川さん以外の同クラスの女子で現在残っているのが、名前順的に前のほうだったからだ。
後半の女子は皆帰宅済み、となれば最後に残っているローファーは朝川さんのものだろう。
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