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美智留と駄弁りながらも始業式を終え、学年、クラス順に退場していく。
美智留は立ち上がると大きく伸びをして、俺に向き直った。
「そういえばあんた、さっき先生に何か言われてなかった?」
「ああ、別に大したことじゃねぇよ?」
朝のこと。
俺は担任の先生に呼び出しを食らい、職員室に訪れた。
そこで今日、我がクラスに転校生がやってくると知った。
どうやら、その子にしばらくの間学校について色々教えてやれ、ということらしい。
しかし転校生は女生徒らしく、何故男子である俺を選んだのかと疑問が浮かんでくる。
まあしかし? こっちも立派な思春期男子であるわけで、女子と会話できる機会が貰えるならば喜んで、というのが心境である。
つっても、普段から美智留と話したりしてるんだけども。
「ふーん? それじゃあ、戻りましょうか」
「おう」
列の流れに従ってゆっくりと歩き出す。
美智留はスカートのシワと気にしながらも、俺の隣を歩いていた。
季節はいまだ夏を抜けきれず、今日もまた蝉の無く暑苦しい日である。
しかし残すところの日程はホームルームのみ。
それが終われば、同じく短い日程で帰ってきているであろう由香里と一緒のお昼ご飯だ。
それを考えれば苦ではない。
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