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渡り廊下にて、隣を歩く美智留がこんなことを言ってきた。
「ねえ、帰った後って暇?」
「お? あー、だからさっきもお願いしたろ、宿題手伝ってくれって」
「あっ、そうだったわね。じゃあお昼ご飯、そっちで食べていい?」
ちなみに、俺の両親は共働き。美智留の両親も共働き。
だからして、幼いころから一緒に食事をすることもしょっちゅうだった。
今思うと、喧嘩別れとかしてなくて良かったなー。
美智留以上に話しやすい相手なんていねぇもん。
「そうだな、そうすっか」
本当ならば確認を取るまでも無く了承しているのだが、何故か美智留は律儀に毎度聞いてくる。
そういうところも俺は好きなんだけども。
美智留は未だにスカートのシワを気にしている様子。
……手伝ってもらう代わりと言っちゃあなんだが、提案だけしてみるか。
「シワ、気になるなら帰ったらアイロンかけてやろうか?」
「えっ? い、いいわよ別に。手で十分」
「そうか? 手だけじゃ直らん気がするが……まあ美智留がそう言うならそれでいいけど」
俺の提案は却下されてしまい、自然と会話もそこで途切れてしまった。
やはり慣れない親切なんてするもんじゃないな。
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