第一章・その者死人が如く

10/23
前へ
/25ページ
次へ
「動くな」 ソイルは眼光を鋭くしながら、静かに言葉を発した。 そして以前として、SPR4のトリガーには指がかけられている。 「!…あら、誰…かしら?」 「って言うか何て格好してるんだぜ?!」 煙が完全に晴れ、ソイルの視界に現れたのは……紫、藍、幽香、幽々子、レミリア、魔理沙、早苗の現代に現れる確率が極めて低いであろう人物達だった。 魔理沙の言う通り、確かに迷彩シャツにトランクスのみでアサルトライフルとナイフを構えた白髪の男なんか何処からどう見ても怪しい人物にしか見えない。 「……自分は……政府非公認異変対策武装組織、アルカナフォース所属……ソイル・オーランドだ……階級は軍曹……」 ポツリと呟く様に喋りながらソイルはSPR4の銃口を天井に向け、安全装置を手早くかける。 そしてナイフとSPR4を床に放り投げ、武装解除したソイルは両手を上げて敵意がない事を証明する。 「……対峙する気はない。まずは非礼を詫びさせてもらう、いきなり銃口を向けてしまい申し訳ない……」 「い、いえ、別に構わないわよ?こちらこそいきなりお邪魔してごめんなさいね?」 (本当に先程の男と同一人物なのかしら?) 先程までたった一瞬とは言えとんでもない程に禍禍しい殺気を放って存在感をこれ以上にない程出していた白髪の男が、戦闘の構えを解いて武装解除した途端に死人の様に存在感も、その生気すらも一気に消え失せ、先程の人物と同一人物なのかと紫は一瞬考えてしまった。 (例えるなら、燃え尽きた灰って所かしらね。今の彼は) 「……単刀直入に言うが……何故、俺の家に現れたんだ?俺のノートパソコンを爆発させてまで……」 濁った生気のない瞳で紫達を見ながら若干戸惑った感じでソイルは言葉を発っする。 「分からないわ、ただ分かるのは私の能力のスキマが、何者かの手によって奪われた事よ…そして気付いたら……」 「………他のみんなは能力が使えるのか?」 .
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加