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「あ、つ、使えません!奇跡が起こらないなんて……!」
「私も魔法が使えなくなってるんだぜ?!」
「まさか運命が見えなくなる時が私に来るなんてね……」
「私に至っては妖力まで使えなくなってるわ…」
聞いてみれば各々から使えない旨の返答が帰って来た。
「……チッ…」
(厄介な事になったな……)
ソイルは一人、小さく舌打ちし、予想できる最悪の事態を即座に算出した。
【紫達と同等、もしくはそれ以上に反則的な強さを持つ敵が現れた】
と……
自分が戦う事になるかは分からないが、紫の能力を奪い、全員の能力を封じたソイツは確実に良からぬ事を考えているだろう。
でなければ幻想郷から彼女達をこんな強引過ぎる手段で追い出す筈がない。
「……とりあえずは落ち着いて欲しい。居場所がない間は俺の家を好きにしてくれて構わない……これも何かの縁だ。出来るだけの事は力を貸そう」
ソイルがそう話した瞬間、全員が驚愕した顔でソイルを見つめた。
(……何か変な事言ったか?俺は……)
「随分親切なんですね、えと…」
「ソイル・オーランド。ソイル、ソーちゃん、ソースケ……好きに呼べ。東風谷早苗…」
「ソイルさんは随分親切なんですね?」
「……困った人を放って置くような非常な人間ではない……俺は…」
あははと笑いながら質問した早苗に返答したソイルは、眉間に皺を寄せて考え込む。
(…彼女達だけが幻想郷から追い出されたとは考え憎い……幻想郷の主要人物は、多分全員こちら……現世に飛ばされて来てるな……能力を使える外来人も……)
外来人…あちら側に行けた人達をソイルは羨ましいと思いながらも、その思いをかき消す。
所詮、俺は幻想郷に必要のない人物だから仕方がないのだと……
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