第一章・その者死人が如く

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(……雲……空………) 上を見上げれば何処までも広がる青が死人の様な覇気のない、男が見つめた先には広がっていた。 「オイ、ソイル。そろそろ時間だぜ!飯食いに行くぞ!」 「……」 「ケッ、相変わらず喋らねぇムッツリだぜ……」 死人の様に生気のない男、ソイルは隣にいた野戦服に身を包み、頭にバンダナを巻いた男の声に反応してフラリとマリオネットの様に力無く立ち上がり無言でバンダナ男の隣に立った。 バンダナ男はその様子をフンと楽しくなさそうに鼻で笑い、ドカドカと早足気味に大きな施設に入り込んで行く。 相変わらず死んだ様な濁った瞳を虚空をさまよわせながら死人の様な男、ソイルはフラフラとバンダナ男が乱暴に開け放った大きな施設の扉を潜り抜けて、玄関ホールに入り込んだ。 「おう、サッサとしねぇとまたキースの奴に嫌みを言われる。食堂に急ぐぞ」 玄関ホールで腕組みをして待っていたバンダナ男の言葉にソイルはコクリとだけ頷き、バンダナ男と共に建物内にある食堂へ通ずる長い廊下を歩いていく。 ソイルもバンダナ男も腹がかなり減っていて、食堂につくまでに何度か腹の虫が癇癪を起こしていた。 「腹減ったよなぁ…どうせお偉方は美味いもん食ってるんだろうぜぇ…」 「………」 腹周りをさすりながら、バンダナ男は恨み言を呟いて食堂でわんさかと並んでいる兵士達の後ろにつく。 ソイルは表情も変えずにバンダナ男の後ろに並んだが、彼も腹が減ったらしく。 頻りに腹を叩いている。 「おやおや~!コレはコレは噂に名高いソイル・オーランド軍曹ではないですかー!」 「ウゲッ…キースの野郎だ…」 「………ピクッ」 大袈裟な気障ったらしい身振りで、小綺麗な将校服に身を包んだ若い金髪の男が口元に薄い笑みを浮かべて大声でソイルの名を呼んだ。 それに対し、ソイルはピクリとだけ反応し、顔をソイツに向けた。 .
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