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「あなたが何故、新山少佐に気に入られているのかは相変わらず理解に苦しむ…!」
「………」
大袈裟に自らの胸元を押さえて、一人苦しむ素振りを見せる痛い将校をソイルはボヘラッと眺めながら鼻腔をくすぐる匂いに、(今日の献立はなんだろうな……)と呑気に考えていた。
「私は!新山少佐の部下に!君は相応しくないと思うんだよ!ソイル・オーランド軍曹」
「いや……なんか気合い入れて喋ってる所悪いけど、アイツ話聞いてねーぜ?」
「あれ、ソイルちゃん今日は大盛りかい?今日はソイルちゃんの大好きなカツカレーだよ。おばちゃんサービスしてあげるからねぇ」
「……コクコク」
「な、何ぃ?!」
痛い将校、キースが力を込めて指を指した方には既にソイルは居らず、待てをかけられた犬の様に食堂のおばちゃんが盛ってくれているカツカレーを、現在進行形でおばちゃんの言葉に首を縦に降りながらジーッと眺めていた。
「………ロジャー、早くおばちゃんからカツカレーを貰え。腹が減った…」
「やっと喋ったか……お前は口開くのが何時も少ねーし、言葉数も少なすぎんだよ」
バンダナ男、ロジャーもソイルが喋った途端に溜め息を吐き出しながらおばちゃんからカツカレーを受け取っていた。
「………あまり喋るのは好きではないからだ。ロジャー、お前が喋りすぎなだけだ」
「ケッ、ムッツリが良く言いやがるぜ…」
「……」
ロジャーとソイルは近くのテーブルにカツカレーを置き、椅子にドカリと座り込む。
「ちょっと待ちたまえ!君達は私の話を聞いていないのか!?全くこれだから傭兵上がりは素行が悪いな。やはり――――」
「――――ならば将校ともあろうものが、食事前だと言うのに立ち歩くのは素行が悪いとは言わないのか?」
ソイルの的を射た言葉にキースは「うっ…」と言葉をつまらせたじろぐ。
「サッサと自分の席に戻れ、これ以上自分の顔に泥を塗りたくないのならば、な……」
腕組みをして先程まで死人の様に覇気がなかったソイルの眼光に鋭い光が宿る。
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