第一章・その者死人が如く

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「くっ!今回はコレで引くが次は」 「「いただきまーすっ!」」 「話は最後まで聞きたまえっ!」 完全にキースを無視した2人は飢えた獣の様にカツカレーを口一杯に放り込み咀嚼する。 噛む度にカツの弾力性のある肉の歯ごたえと、カレールーの味わい、米の旨味が口内に響き渡っていく。 「……」 (美味い……) 「あぁー!うめぇ!」 「お、覚えておきたまえ!」 キースは負けた時の常套句ほざいて去っていったが、二人はそんな事お構いなしにずっとカツカレーを貪り食っていた…… 「……ご馳走様でした」 「ごっそさ~ん」 先程よりは若干生気が戻ったソイルだったが、未だに口数も少ないし、瞳も濁ったままである。 二人は食堂のおばちゃんに謝辞をのべ、また長い長い廊下に繰り出した。 「しっかし……キースの野郎も相変わらずお前に食ってかかるよな。いい加減叩きのめしたらどうだい?ソイルよぉ」 「……【死人】の俺がか?」 「カッ、そう【死人】のお前がよぉwwそうしたらあのバカ何でオメーが【アルカナフォース】にいるかが分かるぜww」 「……俺が死人か、確かにある意味的射た表現だよな……」 「ククク、違ぇねぇやww」 ニヤリと口元だけに笑みを浮かべたソイルは、楽しそうに笑うロジャーと廊下を歩いていき、廊下の端のベンチのそばにある自販機の前で立ち止まる。 「何飲む?」 「俺はコーヒーな。お前の奢りか?」 「俺はコーラだな…ああ、偶にはな…」 ソイルは硬貨を自販機につぎ込み、エメラルドマウンテンとコカ・コーラのボタンを押した。 ガコン!と自販機のポケットにそれぞれの缶が滑り落ちて来る。 自販機のポケットからエメラルドマウンテンの缶を取り出したソイルはロジャーに缶を放り投げる。 「へへ…サンキュー」 「ああ……」 .
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